08.04(FRI)2023
原著論文発表
【薬品分析化学研究室】 水中で強く発光する新たなPush–Pull型アミン蛍光ラベル化プローブの開発に成功(Bioconjugate Chemistry誌に掲載)
薬品分析化学研究室における研究「Naphthyridine-Based Electron Push–Pull-Type Amine-Reactive Fluorescent Probe for Sensing Amines and Proteins in Aqueous Media」が、アメリカ化学会(ACS)の学術雑誌Bioconjugate Chemistryにオンライン掲載されました(2023年8月4日)
生体内で起こっている現象を可視化するためのツールとして、蛍光プローブはその感度や汎用性の高さからバイオ研究において広く用いられています。蛍光プローブには目的物質との高い反応性や水環境下での強い発光、大きなストークスシフト(吸収極大波長と蛍光波長の差)などが求められ、これまで様々な種類の蛍光プローブが開発されてきました。今回、薬品分析化学研究室の梅野智大特任助教と唐澤悟教授らは、薬物治療学研究室の濵田浩一講師、水谷顕洋教授と共同で、新たなPush–Pull型アミン蛍光ラベル化プローブの開発に成功しました。開発した蛍光プローブは水環境下で加水分解に対して非常に高い安定性を有している一方で、アミン類に対して高い反応性を有しており、アミンとの反応により2000倍以上強い発光を示しました。また、一般的な蛍光プローブのストークスシフトは20 nm程度であるのに対して、開発したPush–Pull型プローブは80 nm以上の大きなストークスシフトを示しました。さらに、HeLa細胞を本プローブで処理したところ、時間依存的な蛍光強度の増加が確認され、本プローブは細胞内タンパク質の蛍光ラベル化プローブとして有用であることが示されました。