07.31(MON)2023
原著論文発表
【衛生化学研究室】 NASH治験薬である三種PPARアゴニストのPPARα/δ/γサブタイプ活性化能と結合様式を解明(Antioxidants誌に掲載)
衛生化学研究室における研究「Functional and Structural Insights into the Human PPARα/δ/γ Targeting Preferences of Anti-NASH Investigational Drugs, Lanifibranor, Seladelpar, and Elafibranor」が、MDPIの学術雑誌Antioxidantsにオンライン掲載されました(2023年7月29日)
脂質代謝?糖代謝など代謝全般を統括的に制御する転写因子型核内受容体PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)には、α/δ/γの3サブタイプがあります。すでにPPARαアゴニストが脂質異常症薬、そしてPPARγアゴニストが糖尿病薬として臨床で使用されていますが、現在PPARδアゴニストが各種代謝異常症薬、そしてPPARα/δ/γの2つないし3つに作用するPPAR dual/panアゴニストがNASH(nonalcoholic steatohepatitis:非アルコール性脂肪肝炎)治療薬として期待されています。肥満人口が爆発的に増えている世界で、NASHを含むNAFLD(nonalcoholic fatty liver disease:非アルコール性脂肪性肝疾患)の有病率は35%にも達していますが、未だその根本治療薬がありません。今回、衛生化学研究室の鎌田祥太郞助教らは、NASH治療薬として治験中あるいは臨床試験で開発中止となったPPAR dual/panアゴニストであるLanifibranor、Seladelpar、ElafibranorのPPARα/δ/γ活性化様式と結合様式を明らかにしました。この研究成果から、現在NASH治験中のLanifibranorとSeladelparは、それぞれPPAR panアゴニストとPPARδ選択的アゴニストのリード化合物として有用であることが示されました。